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プロローグ -- 本編 12 ・ 3
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         番外編 1
2-7

メルーが姿を消してから、既に1週間が経つ。
そして、市長の娘も未だ見つかってはおらず、捜査は暗礁に乗り上げていた。
私とセラは中央通りを中心に怪しいところを虱潰しに当たっていたが、
なかなか当たりを引けずに時間を浪費するだけで、次第に焦りが募っていっていた。
とはいえ、ここ数日間、ほとんど寝ずに探していたため、
疲労も溜まっていた私たちは休憩をとるため、ユグドラシルに戻ってきていた。

私は自分の部屋のベッドに転がり、ぼんやりと思考を巡らせていた。
睡眠をとるべきだと、身体も訴えてはいるが、焦りがその欲求を阻害する。
他のギルドメンバも駆り出され、大捜索となっているのにも関わらず、
未だに痕跡すら見つからないというのはどういうことだろうか。
ギルドの人数のほぼ半数が駆り出されているため、100人近くが探していることとなる。
人海戦術としては、ギルド始まって以来最高数の動員数だが、
これで見つかっていないということは、これは裏があると考えるべきかもしれない。

灯台下暗しという言葉もあるし、今までいるはずがないと考えていた場所を調べるべきだろうか。
となると、怪しいのはウィーの診療所か、或いは……。

「ここ、か」

自分で考えておきながら溜め息が出る。
その二つの場所を疑うということは、自分の仲間を疑うに等しい。
もはや家族のような、ギルドや、街の仲間たちを。
しかし、ギルドは警察権力としての意味合いも備えている以上、
早急な解決をすることも市民の不安を高めることになるし、何より危険だ。

葛藤になかなか答えは出ない。守るべきもの、私にとっての重みは双方どちらも同様に重い。
ベッドの天井を見つめながら、私は今日何度目かわからない溜め息をついた。

「迷っていても仕方がない、か。けど……」

「何を、だ?」その時、声が降ってきた。           
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